SPICEデバイスモデルの参考書

SPICEの開発者も述べているように、SPICEまたはSPICEベースのシミュレータが回路シミュレータのスタンダードとして使用されている理由は、半導体デバイスモデルにモデルパラメータを与えることによって半導体デバイス特性を精密に表現できるためです。SPICE による回路シミュレーションの精度と信頼性は、半導体デバイスのモデルパラメータの設定によって決まります。しかし、半導体デバイスの特性をよく表すようなモデルパラメータを見つけることは容易なことではありません。このため、実測カーブやデバイスシミュレーションの結果にフィットさせるようなパラメータ抽出ツールが販売されていますが、これらのツールを使うにせよ、モデルパラメータの意味を知らなければ、初期値や適切な値の範囲、パラメータと電気的特性の関係、パラメータ間の相互関係などが把握できません。

1990年代に、大学院博士後期課程の講義で解説していたバイポーラトランジスタとMOSFETのデバイスモデルについてまとめておこうと思い解説ページを作り始めましたが、MOSFETのモデルは、パラメータが多いため(特にBSIM4)、解説記事を書ききれないまま年月が経ってしまいました。現在、新しいモデルが次々と開発されるという状況ではなくなっているので、近い将来、時間があれば書き加えていこうと思います。この間、多くの方から、より精密なデバイスモデルの作り方などについて、ご議論いただきましたが、これらも纏められていません。私は、半導体デバイス物理の分野から離れて長くなり、現在では質問に回答する能力がありませんので、参考書をあげておきます。ダイオードとBJTについては、下記、掲載済みの記事を参照してください。

参考書

  • G. Massobrio and P. Antognetti, Semiconductor Device Modeling with SPICE Second Edition, McGraw-Hill, 1993, ISBN 0-07-002469-3.
  • T. A. Fjeldy, T. Ytterdal, and M. Shur, Introduction to Device Modeling and Circuit Simulation, A Wiley-Interscience Publication, 1998, ISBN 0-471-15778-3.
  • 西久保靖彦、ASIC設計-回路シミュレータSPICE入門、日本工業技術センター.
  • 西義雄、青木均著、シリコンFETのモデリング、Addison-Wesley Publishers, 1997, ISBN 4-7952-9716-9.

デバイスモデルの解説